持続可能性と資源貿易研究会経済学部研究会

活動記録

2023年度

東京新世界経済研究会・2023年冬例会/第49回持続可能性と資源貿易研究会/グローバル政治経済学(GPE)研究会/経済研究所国際部会ワークショップ

  • 日時 2023年12月26日(火)14:00-18:00
  • 会場 立教大学池袋キャンパス、12号館4F第1・2・3共同研究室
  • 形式 対面優先/オンライン配信(報告が聞ける程度と想定願います)

  1. 宮﨑昌氏(一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO))
    「持続可能な森林経営管理と森林資源利用ーネットゼロに向けたGHG吸収・削減方策の活用について—」
    ・概要
    企業経営ではGHGプロトコル/SBT/CDPなどの環境情報開示に対応することが急務である一方、従来有効活用できるとされてきたJ-クレジットや各種オフセット手法について厳しい目が向けられるなど日々ビジネスを取り巻く状況が変化しています。本テーマでは、2023年時点において企業経営の観点から「ネットゼロ」と「森林資源活用」に着目して話題提供します。
  2. 山川俊和氏(桃山学院大学経済学部)
    「〈脱炭素世界経済〉の構造・試論」
    ・概要
    現代世界経済が大きく変貌しようとしている。その理由は、パリ協定の締結以降に本格化したカーボンニュートラル達成への気運の高まりと、経済の脱炭素化(decarbonization)である。経済の脱炭素化プロセスにおいては、化石燃料から脱炭素化されたものへとエネルギー・システムの転換が進む。そしてその転換は、大量生産、大量消費、そして大量廃棄を前提に構築されてきた生産と貿易、投資、通貨、そして国際政治のシステムを大きく変貌させる可能性を含んでいる。本報告では、こうした世界経済の現段階を〈脱炭素世界経済〉と呼び、その構造について試論を展開する。関連して、日本の脱炭素化政策の特徴と問題点についても述べていく。
    <参考文献>
    吉弘憲介・山川俊和(2023)「再生可能エネルギー施設立地の政治経済学—日本の木質バイオマス発電を中心に」『季刊経済研究』(大阪公立大学)、第41巻1-4号、2023年3月、49-63頁。
    山川俊和(2023)「〈脱炭素世界経済〉における日本の環境経済戦略—グリーントランスフォーメーション(GX)とその隘路」『生活経済政策』第319号、2023年8月、11-16頁。

東京新世界経済研究会/GPE研究会/(新世界経済研究会との合同研究会合宿)

  • 日時 2023年9月4日12:45集合12:55開始-5日12:15解散(予定)
  • 会場 常葉大学・草薙キャンパス(アクセスはこちら
  • 宿泊 駿河健康ランド(静岡市清水区興津東町 1234)(宿泊先は当初予定から変更しました)
9月4日
  • 小川健氏(専修大学)
    「コード決済相互互換確保のためのデジタル円とデジタル・ドルの代替手段」
  • 安斎拓真氏(中央大学・博士過程)
    「デジタルプラットフォームにおけるオンライン広告事業の展開(仮)」【ミニ報告】
  • 中本悟氏(立命館大学)
    「新しい独占(仮)」
  • 古川純子氏(聖心女子大学)
    「プラットフォーム独占とその規制(仮)」
  • 夏目啓二氏(龍谷大学・名)
    「コメント—新しい独占とその規制に寄せて」

9月5日
  • 石田周氏(愛知大学)
    「世界金融危機後のEU金融制度改革」
  • 久保新一氏(関東学院大学・名)
    「経済社会と主体—戦後過程の帰結を踏まえて」

持続可能性と資源貿易研究会/GPE研究会

  • 日時 2023年7月29日(土)13:30-18:40
  • 会場 立教大学池袋キャンパス、12号館4F第1・2・3共同研究室
  1. 日野道啓氏(拓殖大学)
    「環境物品貿易に関する一考察:自由化交渉とSDGs」
    ・概要
    国際貿易に期待される正の環境効果に技術効果があり、それを国際的に体現させようとする環境物品交渉の実態と、近年注目を集めるSDGsの達成に向けた環境物品貿易が果たす役割について検討する。
    <参考文献>
    ・蟹江憲史(2020)『SDGs』中公新書。
    ・高井亨(2020)「SDGsの到達度を測る:正射影ベクトルを用いた統合指標作成の試み」
    『経済論叢(京都大学)』194(1), 91-113。
    ・日野道啓(2019)『環境物品交渉・貿易の経済分析:国際貿易の活用による環境効果の検証』文眞堂。
    ・日野道啓(2023近刊)「国際貿易とSDGs:日本貿易学会の果たすべき役割」『貿易と関税』。

  2. 藤田香氏(東北大学/日経BP)
    「ESG時代のネイチャーポジティブ経営(仮)」
    ・概要
    ビジネスの世界では、カーボンニュートラルと並んで、生物多様性に配慮した自然資本・ネイチャーポジティブ経営を進めることが重要になっている。投資家や金融機関もネイチャーポジティブ経営に資金を流し始めている。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)など自然の情報開示の動きも進みつつある。ネイチャーポジティブが重要になった背景などを論じる。
    <参考文献>
    ・『ESGとTNFD時代の生物多様性・ネイチャーポジティブ経営

  3. M..K. .Pasha氏(Chair of International Politics,Wales Univ.)
    “Climate Change and the Global South” (英語。ゆっくり話していただきます)
    (この部分は,立教大学経済研究所・国際研究ワークショップとして開催されます)
立教大学経済研究所主催・国際研究ワークショップ
「グローバル・サウスの多角的解明:グローバル政治経済学の視点から」
  • 趣旨:グローバル政治経済学、国際関係論の分野でGlobal South研究者として著名なムスタファ.K.パシャ教授を招へいし、Global Southの今日的な位相について多角的に議論し、グローバル政治経済学的な解明を目指す。
  • 概要:かつて南北問題、第三世界論などとして論じられてきた領域が、Global South研究として意識され、グローバル政治経済学研究の重要な領域となっている。今回の国際研究ワークショップでは、Global Southの今日的な位相について、①米中新冷戦の文脈における意義を問い、②移民・難民の移動とその危機という観点を意識し、③脱炭素などのグローバルな課題における利害交錯の構図など、多角的な解明を目指して、グローバル政治経済学な議論の場としたい。
  • 報告者:Prof. Mustapha Kamal Pasha,
    Chair in International Politics at Aberystwyth University in Wales, UK.
  • 第1回 2023年7月26日(水)16:40-18:40
    “The Global Migration Crisis and the Global South”
  • 第2回 2023年7月29日(土)17:15ごろ-
    “Climate Change and the Global South”
    *7月29日には、13:30-17:10に予定されているグローバル政治経済学(GPE)研究会/持続可能性と資源貿易研究会に続いて、国際研究ワークショップを開催。
  • 使用言語:英語 (通訳なし) ゆっくり話していただきます。
2022年度

第47回持続可能性と資源貿易研究会/東京新世界経済研究会2023年春例会/グローバル政治経済学(GPE)研究会

  • 日時 2023年2月18日(土)14:30-18:00
  • 会場 立教大学池袋キャンパス5号館,5124教室
  • 形式 対面とオンラインのハイブリッド

1 宮本基杖氏(森林総研)
「熱帯の森林減少の解決には途上国の貧困率を低下させる基盤整備が必要」
・概要:
温室効果ガスの排出源でもある熱帯林減少は、対策が国際的に推進されているものの、十分な成果は得られていません。本報告では、世界の先行研究と報告者の東南アジアでの実証研究を基に、森林減少の原因について解明された全容を示し、持続可能な解決策を提案します。
・参考文献,宮本基杖[2023 forthcoming]日本森林学会誌に掲載予定。

2 桑名謹三氏(関西大学)
「SDGsとファッション」
・概要:
近年、SDGsの認知度が高まるなかで、エシカルウエディングなど、多様なエシカル消費が注目されています。本報告は、エシカル消費の中でもその起源が古いエシカルファッションをテーマとしています。エシカルファッションが必要と考えられるようになった背景を、途上国におけるファッションアイテム工場の事故から明らかにするとともに、法と経済学の分析を通じて、その改善策を提案します。本報告は次の文献に基づくものです。
・参考文献,桑名謹三[2022]「SDGsとファッション」『アカデミアが挑むSDGs関西大学の多様な取り組み』関西大学出版部,pp.124-143
※今回は、経済学部国際部会ワークショップとも共催します。

グローバル政治経済学研究会/東京新世界経済研究会冬例会/第46回持続可能性と資源貿易研究会

  • 日時:2022年12月26日(月)14:00-19:00
  • 会場:立教大学池袋キャンパス12号館4F共同研究室/オンラインとのハイブリッド開催参加32名(オンライン14名を含む)

1 土橋康人氏(立教大学)
「『サッチャリズム』の包括的な再検討に向けて—財政・金融・社会政策のメカニズム」
・近年の歴史研究の進展に伴い、「サッチャリズム」や「新自由主義」に与えられた歴史的特異性や政策の一貫性をめぐる評価については修正が迫られている。本報告では、これらの先行研究を批判的に整理した上で、金融や税及び住宅政策などの複数の領域を横断的に分析していく。そして、本研究によって描写されたサッチャー政権の政策メカニズムと政治経済学の諸概念を対照させることで、「サッチャリズム」及び「新自由主義」という概念を再検討していく。
2 梅本徹氏(J-Money論説委員)
「円キャリートレードとドル円相場」
・モルガン・スタンレー,バークレイズ・キャピタルなどでチーフFXストラテジストを歴任。東京市場で常に上位を占めたアナリストに,昨今のドル円相場の見方をうかがいます
3 田中綾一氏(駒澤大学)
「デジタル通貨・金融デジタル化の現状と課題」
・2018年末の本研究会においてキャッシュレス化の動向を報告してから4年が経過し、デジタル通貨およびその周辺技術によってできることとできないことの区別がよりはっきりしてきたように思われる。今回の報告においては、(1)暗号資産の現状(暗号資産を法定通貨化した国の動向や最近のFTXをめぐる混乱など)、(2)セキュリティ・トークン市場の現状(証券市場など)、(3)ホールセール型CBDCの現状の3つの観点から、デジタル通貨と金融デジタル化の現状と課題について論じたい。
※今回は、経済学部国際部会ワークショップとも共催します。

第45回持続可能性と資源貿易研究会/グローバル政治経済学(GPE)研究会

●日時
2022年7月30日(土)14:00~18:00
立教大学池袋キャンパス12号館4F 共同研究室(ハイブリッド開催)

●報告
  1. 川上豊幸氏(聖心女子大学/レインフォレストアクションネットワーク)
    「気候変動対策としての木質バイオマス発電事業評価の問題に関する研究ノート(仮)」
  2. 道満治彦氏(神奈川大学)
    ・報告タイトル:
    「欧州グリーンディールの前提要件としての再生可能エネルギー政策-EUにおける再生可能エネルギーの優先給電・優先接続の変遷と日本への示唆-」
    ・報告要旨:
    欧州グリーンディールの前提条件として、EUの再生可能エネルギー政策がどう進展してきたのだろうか。欧州グリーンディールの中で2050年気候中立が謳われる中で、中心的な役割を担うとみられているのが、再生可能エネルギーである。そのEUの再生可能エネルギーの発展の背景には、各加盟国で導入された固定価格買取制度(FIT)をはじめとする導入促進政策に加えて、①義務的な導入目標と②市場へのアクセスと送電線への物理的な接続というEU主導の政策があった。後者の中心的な役割を果たしたのが再生可能エネルギーへの優先給電と優先接続である。では、再生可能エネルギーの優先規定がどう発展し、それが欧州グリーンディールにどう影響を与えてきたのか、また日本にどういう示唆を与え得るのか、を考えていく。

※今回は、経済学部国際部会・ワークショップとも共催します。
2021年度

東京新世界経済研究会2022年春例会/グローバル政治経済学(GPE)研究会/第44回持続可能性と資源貿易研究会

テーマ:製造業とIT産業、あるいは金融における産業組織、レントと利益構造
・12月研究会で、「企業のレント」について、すべての産業を同じ考え方でとらえてよいのかという論点が提起されました。今回はこのテーマについて探求します。
・カジノ資本主義化(金融化)に着目してグローバル資本主義の転機の解明が求められるだけでなく、農業革命、製造業(産業)革命に続く、より大きな変化と転機への着目が必要になっているのかもしれません。利益構造などに焦点を当てつつ、IT産業の特性について考えます。
フロアも含めたさらなる議論を喚起できれば幸いです。

日時 2022年3月5日(土)14:00-17:30
第1部 14:00-15:45 3氏からのご報告
・第1報告:松井謙一郎氏(拓殖大学政経学部)
「製造業とIT産業の比較 —複数の視点からの論点整理—」
(概要)
GAFAという呼称の定着に象徴されるように、近年のIT大手企業の躍進は著しい。コロナ下で更に存在感を高めている状況にある一方で、巨大化するIT大手企業への批判も非常に大きくなっている。
発表の前半では、IT大手企業の典型的なビジネスモデルである「プラットフォーム」を、伝統的な製造業のビジネスモデルである「価値連鎖(バリューチェーン、パイプラインとも表現される)と対比する。発表の後半では、IT大手企業にとってのビッグデータの価値とデジタル課税の考え方、IT大手企業への批判と無料サービスの価値(消費者余剰)を中心に、具体的な試算結果などを踏まえながら論点整理する。

・第2報告:古川純子氏(聖心女子大学現代教養学部国際交流学科)
「知識経済の利潤構造 ー製造業、金融業と、プラットフォーム産業の比較からー」
(概要)
製造業から知識経済へ産業構造がシフトしつつある。同時に企業は完全競争から離れレントを生みやすいことが問題視されている。プラットフォーム産業にはwinner take(s) all、金融業にはtoo big to failという言葉が使われる通り、企業の巨大化が実態化している。製造業も巨大化しているとはいえ、3者はそれぞれに異なる利益構造を有している。
まず、代表的なプラットフォーム企業であるGAFAとBATの各社ビジネスモデルの特徴を比較してプラットフォーム産業の利益構造を、次に金融業を業態別のその利益構造を明らかにし、製造業と合わせて3者のレントの構造を比較考察したい。

・第3報告:小川健氏(専修大学経済学部)
「ITを活用した分散型金融と分散型自立組織の在り様」
(概要)
これまで会社組織には経営者がいて、銀行には融資等の経営判断があり、人の判断が大事になってきた一方で、銀行融資などはAI活用も進みつつある。
しかし経営者のいない「分散型自立組織DAO」により、各人の判断で上からの指令無くして動ける在り方が出ている。また、成果物と報酬との契約等だけなら、都度の経営判断も担当者も必要無い。分散型台帳技術により自動執行可能な「分散型金融DeFi」も登場してきた。本報告では旧来の組織等との比較を行う。

第2部 16:00-17:30 総合討論

参加申し込みフォーム
フォーム送信直後に、記載されたメールアドレスに受け付けた旨の返信が届きます。届かない場合には、アドレス誤記などの可能性があります。
前日3月4日までに、Zoomミーティングへの招待URLと報告関連資料等のご案内をお送りします。
オンラインに加えて、立教大学12号館4F共同研究室での開催(オンライン+オンサイトのハイブリッド方式)可能性も検討しましたが、現時点では断念しております。

東京新世界経済研究会・2021年冬例会/グローバル政治経済学(GPE)研究会/第43回・持続可能性と資源貿易研究会

日時:12月27日(月) 14:00-17:30 研究会(Zoom利用)
方法:オンライン開催

●報告1[14:00-15:30]
島本 美保子氏(法政大学社会学部)
・報告テーマ:「規範的法人税率と環境支払い」
・報告内容:
環境評価批判と環境支払いを含む規範的法人税率の概念について説明する。規範的法人税率は、通常の法人税率と、企業が他の経済主体から取得する独占・移転レント合計として定義する。コブ・ダグラス型生産関数と動態的な疑似競争的利潤の最適条件を利用して、S&P 500にリストされている234のアメリカ企業のレントを計算した。これらの企業の1982年から2014年までの規範的法人税率は、40~50%で安定しているが、実際の法人所得税は40%から30%未満に徐々に減少している。
・関連文献
●報告2[16:00ー17:30]
北風 亮氏(戸田建設/公共政策学博士)
・報告テーマ:「洋上風力発電の現状と展望(仮)」
・報告内容:
2050年のカーボンニュートラル達成に向け、世界各国が再エネ導入を加速する中、さらなる大量導入の切り札として「洋上風力発電」が注目を集めている。殊に、世界第6位の排他的経済水域の面積を誇る日本は、海洋エネルギー分野の資源大国であり、着床式・浮体式をあわせた日本の洋上風力発電ポテンシャルは、1,120GW(環境省、2019)~1,897GW(世界風力会議、2021)に達し、国内の年間発電電力量の3~8倍程度の電力生産が可能とされる。ただし、ポテンシャルを最大限発揮し、エネルギー供給の一翼を担うには、洋上風力固有の課題、及び日本固有の課題を一つ一つクリアしていかなければならない。

本報告では、公表ベースの情報をもとに、国内洋上風力プロジェクトの状況、制度・政策の動向に加え、電力系統・環境影響・漁業権といった重要テーマ、他の再エネとの比較、欧州との比較などのトピックを交えながら、日本の洋上風力を取り巻く課題や今後の展望を概説する。

第42回 持続可能性と資源貿易研究会

・日時 2021年7月24日(土)14:00-17:45(研究会)18:00-18:45(懇談)

・報告1
中村洋氏に、モンゴルにおけるマイナス40度の極寒・豪雪による家畜の大量死(自然災害「ゾド」)と遊牧民の環境対応についてご報告いただきます。
・報告2
一方井誠治氏に、①持続可能な発展概念の再検討と、②ドイツにおける気候変動/エネルギー政策についての概観をご報告いただきます。①では、熊沢蕃山、JSミル、ブルントラント委員会、Hデイリー、ウェディングケーキモデル、ドーナツ経済学、プラネタリー・バウンダリーなどが検討される予定です。
・コメンテイター打診中につき、決まりましたらお知らせします。

・報告1
中村洋氏(山陽小野田市立山口東京理科大学講師)
「モンゴルの遊牧と自然災害ゾド~ゴビ地域の脆弱性に関する実証的研究(仮)」
・モンゴルの主要な生業であり、文化的的基盤・基幹産業でもある遊牧に、最大の悪影響をもたらすが自然災害”ゾド”です。モンゴル南部のゴビ地域において、ゾド発生時の遊牧民世帯における家畜頭数の減少、ゾド発生後の頭数回復や職業変化に関する実証的な研究成果を報告します。

【事前配布か紹介できる文献・記事等】
★以下はJ-STAGEにて、無料で読むことができます。
・報告2
一方井誠治氏(武蔵野大学教授/京都大学特任教授)
「持続可能な発展とドイツの新たな気候変動政策」
近年、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関する活動が多くの企業や市民の間で取り組まれています。しかしながら、「持続可能な開発(発展)」の概念については、かなり大きな幅があり、世界的に見ても未だ共通の定義が確立していないのが現状です。
研究会では、持続可能な発展とは何かということについて改めて考えるとともに、気候変動・エネルギー政策で一歩前に進んでいるドイツの政策について報告します。

【参考文献】
・一方井誠治[2018]『コアテキスト環境経済学』新世社
・一方井誠治・Sven Rudolph[2021],報告「ドイツ国内排出量取引制度ーこれは国内交通部門と熱部門の持続可能な政策となるか」『環境情報科学』50-2
2020年度

第41回・持続可能性と資源貿易研究会/東京新世界経済研究会・2021年冬例会/グローバル政治経済学(GPE)研究会(共催)

・日時:2021年3月13日(土) 14:00-17:40 研究会(Zoomミーティング)
・内容:斎藤修・古川純子編[2020]『分水嶺にたつ市場と社会-人間・市場・国家が織りなす社会の変容』文眞堂、の合評会です。同書の主な対象は下記です。
・まえがき(古川)
・第3章 古川「テクノロジー—知識経済化のインパクト」
・第5章 櫻井「グローバリゼーション—『アメリカ第一主義』の起源と帰結」

・報告1 古川純子氏(聖心女子大学)「知識経済化で市場と社会はどう変わるのか」
・報告2 中原裕美子氏(九州産業大学)「テクノロジーの経済と労働への影響—第3章へのコメントと、台湾の事例(仮)」
・報告3 櫻井公人氏(立教大学)「反グローバリズムとアメリカ第一主義(仮)」
・報告4 伊豆久氏(福岡大学)「グローバル化の転換点をどうとらえるか」

・ご参加いただける方は、3月11日(木)ごろまでに下記から参加フォームを送信してください。研究会前日の12日(金)を目安に、Zoomミーティングへの招待URL等をお知らせします。

第40回 持続可能性と資源貿易研究会

日時
2020年12月26日(土)14:00~17:30
ZOOMによるオンライン開催

・第1報告
賴 俊輔氏(明治学院大学国際学部)
「新興高所得国・上位中所得国の税収構造の分析」

報告内容
中所得国から高所得国への移行については、「中所得国の罠」論で盛んに研究がなされているが、中所得国の税・財政についての分析は、まだ不十分である。高所得国の歴史的経験にもとづくと、上位中所得国段階においては、所得税・社会保険料収入が伸び、総税収の規模が拡大しており、それをもとに、政府が、インフラ整備や教育など、生産の社会化に対応する投資を行ってきた。対照的に、新興高所得国・上位中所得国は、1980年代以降の効率性重視の税制改革に加え、徴税能力の不足や統計制度の不備などにより、所得税よりも付加価値税を基幹税とする税制を構築しており、所得税のもつ財源調達機能が発揮されないままとなっている。結果として、政府によるICTインフラや研究開発への投資が進まず、これらの国の国際競争力は高所得国に水をあけられ、今後の成長に課題を抱えるとともに、税・財政を通じた所得の再分配が十分に機能しないままになっている。

関連文献
‘Chile Woke Up’: Dictatorship’s Legacy of Inequality Triggers Mass Protests
アジア太平洋地域:国内の歳入増加の取り組みは、新型コロナウイルスによって後退する見込み -
OECDアジア太平洋地域では、2018年に税収の対gdp比の上昇と国内の歳入増加の取り組みが好調に進展していましたが、税収は新型コロナウイルスのパンデミックの打撃を受けると見られています。
・第2報告
宮本真杖氏([独]森林総合研究所)
「熱帯林減少の発生メカニズムと持続的な解決策」

報告内容
熱帯林減少を解決するための取組が、気候変動緩和策として積極的に実施されている。しかし、これらの取組に対して、コストが高い、効果が低い、持続性に乏しい、地域経済に負の影響があるなどの懸念も指摘されている。これは、森林減少の根本的な原因が特定されておらず、有効な対策が選択できていないためである。このため、森林減少の発生メカニズムを解明し、有効な解決策を明らかにすることが課題となっている。そこで、1990~2014年に私たちが実施した森林減少に関する実証研究の結果を統合して、森林減少の発生の仕組みを分析した。その結果、貧困・農業地代(農地の収益性)・森林率が熱帯林減少の発生と制御の主な条件であることが明らかになった。さらに、森林減少の解決には貧困削減が有効かつ持続的な対策であることが実証的に示された。本報告では、その結果についてWorld Developmentに掲載した論文の内容を中心に発表する。

関連文献
2019年度

39回 持続可能性と資源貿易研究会/東京新世界経済研究会2019年冬例会と共催

「TPPと市場開放/規制改革をめぐって—農業と森林管理のケースを中心に」
・日時:2019年12月28日(土) 14:00-18:20
・会場:池袋キャンパス12号館4F共同研究室

・2018年に種子法が廃止され、森林経営管理法が成立、今年国有林野経営管理法が改正されました。これらをはじめとする農林水産業についての公的制度の破壊は、すべてTPP日米交換文書に記された規制改革推進会議によって議論され、閣議決定されました。国会ではほとんど審議されず成立した制度です。このような市場開放が現場にどのようなインパクトを与え、農村を疲弊させているのか、森林林業の専門家からうかがいます。また外資が日本における市場機会をどう考えているのかについても、意見交換できれば幸いです。

・プロローグ 島本美保子氏(法政大学社会学部)
「TPP日米交換文書と農林改革—種子法廃止、森林経営管理法、国有林野経営管理法改正をめぐって」
・第1報告 三木敦朗氏(信州大学学術研究院農学系)
テーマ「『新たな森林管理システム』は日本の7割をどこへ導くか」
(参考文献:三木敦朗[2019]「資本の一里塚としての『新たな森林管理システム』」『農業・農協問題研究』第69号)。
・第2報告 柿澤宏昭氏 (北海道大学農学研究院)
テーマ「日本・欧米諸国の森林政策動向のなかで森林管理経営法を考える(仮)」

第38回 持続可能性と資源貿易研究会/グローバル政治経済学研究会と共催

日時
2019年7月13日(土)14:00-18:20

会場
池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告1
星野 智樹氏(内閣府経済社会総合研究所,研究専門職)
「データで見える経済の姿」
(本報告は、所属先の公式見解を示すわけではなく、個人的な立場での発言です)

報告2
寺久 保守男氏(元三菱商事飲料原料部長/元アートコーヒー社長)
「コーヒー貿易の現状と問題点」
2018年度

第37回 持続可能性と資源貿易研究会 / 東京新世界経済研究会春例会


日時
2019年3月16日(土)14:00-18:20

会場
池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告1
平賀 緑氏(立命館大学)
「植物油の政治経済学—大豆と油から考える資本主義的食料システム」

報告2
藤原 敬氏(一般社団法人持続可能な森林フォーラム代表)
「日本の森林外交と持続可能な開発の国際ガバナンス—戦後の日本森林外交史から」(仮)

第36回 持続可能性と資源貿易研究会 / グローバル政治経済学(GPE)研究会と共催


日時
2018年12月8日(土)14:00-18:20

会場
池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告
第1セッション(14:00~15:50)「通貨と決済手段の新段階」

1. 小川 健氏(専修大学経済学部)
「(続)仮想通貨問題の基礎—7月報告その後」(仮)
参考文献
小川健氏による仮想通貨・ ブロックチェーンについてのサーベイ論文

2. 田中 綾一氏(駒澤大学経済学部)
「国際決済とキャッシュレス化」

第2セッション(16:10~18:10)
印鑰 智哉氏(日本の種子を守る会事務局アドバイザー)
「アグロエコロジー vs バイオテクノロジー —-ブラジルにおける攻防」


第35回 持続可能性と資源貿易研究会
/グローバル政治経済学(GPE)研究会/経済研究所ワークショップ国際政策部会と共催


日時
2018年7月14日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス X102教室
(10号館1Fのエックス102教室 会場がいつもと異なります)

報告1
佐野聖香氏(東洋大学)
「ブラジル農業の新潮流—遺伝子組み換え作物現況と新たな農業協同組合の展開—」

ブラジルでは、世界の農業生産輸出国としての地位を確保する中で、農業経営の大規模化が進展していることは周知の事実である。だが、そうした農業経営の大規模化が進展する一方で、多数小規模農業生産者(家族農業)も実在している。本報告では、①大規模経営(新自由主義的潮流)に関しては遺伝子組み換え作物の現況と法規制の側面から報告を行い、②協同組合を新設し新自由主義へ抵抗する小規模農業生産者の事例を報告する。

参考文献
報告2
小川健氏(専修大学)
「基礎から学ぶ『経済の人のための』外貨としての仮想通貨」

参考文献
2017年度

第34回 持続可能性と資源貿易研究会/
東京新世界経済研究会春例会/グローバル政治経済学(GPE)研究会


日時
2018年3月3日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス10号館1階 X101教室 (いつもと違う会場です)

報告 1
14:00-16:30
島本美保子氏(法政大学)
「企業のレントと政治的支出: Examining the Relation between Rent and Political Expenditure through the Method of Measuring Each Enterprise’s Rent Amount Obtained from its Financial Statement」

この研究の目的は、個々の大企業のレントを測定するための標準的な方法を構築することである。独占(寡占)モデルの均衡における生産水準を競争均衡として実現するマークアップ率を求めるという方法で独占(寡占)度を算出し、そこから独占レントを算出するという手法をとった。日本の29産業の大企業の産業ごとの平均レントを過去30年(1984~2013年)の財務諸表データから計算した。また、グローバル企業のレント計算に容易に適用できる方法も開発した。これらのレントと各産業部門の政治的支出と研究開発費との関係をクロスセクション分析とパネルデータ分析で分析した。いくつかのモデルでは、政治的支出はレントと相関関係があり、他方研究開発費はレントと相関がないという結果が明らかになった。

報告 2
16:45-18:00
櫻井公人氏(立教大学)
「グローバル政治経済の転機(仮)」

グローバル資本主義の転機をどうとらえるか。通貨と金融,新興国問題の位置づけの変化とヘゲモニーといった観点からグローバリゼーションの「反転」を検討し,議論のベースとしたい。


第33回 持続可能性と資源貿易研究会/
東京新世界経済研究会冬例会/立教大学経済研究所プロジェクト研究(国際・政策部会)


日時
2017年12月25日(月)13:00-17:20

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告
桑名謹三氏(関西大学社会安全学部)
「多国籍企業としての保険産業をどのようにコントロールすべきか?」

損害保険会社(以下「保険会社」という。)は、古くからグローバル企業であった。それは、引受けたリスクを分散するために、全世界の保険会社と再保険ネットワークで結ばれているからである。

保険産業においても、他の業種と同様の多国籍企業問題(たとえば、ナイジェリアにおけるシェルの問題と同様の問題)を生じさせている。たとえば、大手再保険会社が途上国の保険マーケットを支配している場合などに生じる弊害である。このような場合に、多国籍企業である大手再保険会社をどのようにコントロールすべきかが、他の業種の多国籍企業と同様に課題となる。

他方、保険会社は、原籍国内において公共政策のツールとなる保険(日本では、自賠責保険、原子力保険、航空保険、油濁賠償責任保険等)を提供しており、当該保険会社の継続性が問題となるような状況においては、保険を用いた政策の継続性も問題視されうる。保険会社は、再保険ネットワークを通じて原籍国とは関係ないリスクを負担しているうえに、近時、日本の保険会社は海外進出が著しく多国籍企業の様相を呈してきている。つまり、日本の保険会社が、海外での大規模な保険事故に伴いその継続性が脆弱となることが懸念される。そして、その結果、日本で実施されている公共政策の継続性も問題となることが想定されうる。

本研究では、再保険ネットワークの仕組みや歴史的な動きを明らかにするとともに、公開されているデータを用いて日本の保険会社がどの程度海外に依存しているかを把握し、どのように日本の保険会社をコントロールすれば、日本国内の保険を使った公共政策の持続可能性を確保できるのかを模索する。

参考文献
桑名謹三[2016]「東日本大震災と保険」関西大学社会安全学部編『東日本大震災復興5年目の検証—復興の実態と防災・減災・縮災の展望』ミネルヴァ書房。

所康弘氏(明治大学商学部)
「ラテンアメリカにおける『資源採掘型』貿易と開発をめぐる諸問題」

本報告では、(いわゆる「左派」「中道左派」といわれた南アメリカ地域の諸政権下で)2000年~2010代前半にかけて展開された多国籍資源メジャー主導による「資源採掘型経済開発モデル」の問題点、ならびにその背景となった対外諸関係の多様化(おもに中国・ロシアらと南アメリカ諸国の貿易・投資関係の深化)の問題点について、考えたい。

参考文献
所康弘[2017]『米州の貿易・開発と地域統合—新自由主義とポスト新自由主義を巡る相克』法律文化社。


第32回 持続可能性と資源貿易研究会/経済研究所プロジェクト研究・政策国際部会と共催


日時
2017年7月22日(土)13:30-18:20
※開始時刻がいつもと異なります。

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

第1報告
杉山修一氏(弘前大学農学生命科学部)
「『奇跡のリンゴ』と自然資本」

現在の農業技術は肥料と農薬の大量投入を前提にした「緑の革命」を基盤としている。「緑の革命」により世界の食糧生産は大幅に上昇し、人口増加にもかかわらず食糧危機は回避されてきたが、多投入の農業は窒素や合成農薬による環境汚染やリン資源の枯渇などの問題も内包している。

一方、日本には肥料や農薬を使わずに数十年以上持続的な農業生産を行っている篤農家がいる。例えば、「奇跡のリンゴ」で有名になった弘前市のリンゴ農家木村秋則氏は30年以上無肥料・無農薬で通常の栽培に匹敵する生産をあげている。私たちの研究から無投入でも持続的農業生産が可能になるのは、生物生態系が活性化することで肥料と農薬の代わりとなっていることが関係していることが分かってきた。ここには、資源投入型の単一高生産システムから多様な生物より構成された複雑なシステムの自律的制御という農業の革新的な技術変化(イノベーション)が起きている。今回は、自然資本という考え方から無投入型農業のもつ可能性と地域社会に与える意味について考えたい。

参考文献:『すごい畑のすごい土』幻冬舎新書

第2報告
長山宗広氏(駒澤大学経済学部)
「地方創生」時代におけるグローバル都市・東京と中山間地域
~アントレプレナーシップの視点から~

本報告では、「地方創生」ビジョンに関して、日本国内の内向きな人口移動の議論に終始することなく、グローバルな視野から捉えなおす。
内発的発展の理念のもと、アントレプレナーシップ(起業活動)の視点からの事例分析を通じて、東京と中山間地域の今後の在り様を見通す。

事例分析にあたっては、日本の垂直的国土構造や国民的制度の制約を乗り越える実験的仕掛けに着目する。東京に関しては、大企業のオープン・イノベーションおよびボーングローバル・スピンオフ・ベンチャー叢生の事例、中山間地域に関しては、移住起業家およびメイカーズ叢生の事例に着目して、それぞれの今後の在り様を見通す。
2016年度

第31回 持続可能性と資源貿易研究会(/東京新世界経済研究会2017年春例会と共催)


日時
2017年3月4日(土)14:00-18:20

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告1
14:00-
山川俊和氏(下関市立大学)
「EUにおける遺伝子組換えと国際貿易システムーーWTOとTTIP」

報告2
16:00-
田中滋氏(アジア太平洋資料センター[PARC])
「『スマホの真実』とコンゴ,フィリピン,エクアドルにおける鉱物資源開発」
(『スマホの真実』PARC制作のDVD上映を含む)


東京新世界経済研究会/第30回持続可能性と資源貿易研究会/経済研究所プロジェクト研究と共催


日時
2016年12月10日(土)14:00-18:30

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告1
14:00-
山縣宏之氏(立教大学)
「オバマからトランプへ-産業構造動態・格差問題・経済的背景-」

2016年米大統領選挙は、D.トランプ候補の当選という衝撃的な結末を迎えた。本報告では、トランプ候補が当選した経済的背景を、オバマ政権期の産業構造動態と格差問題の深刻化をふまえつつ検討してみたい。速報的であるため分析がかなり粗くなることをお断りの上であるが、製造業の強化・再生が米国民生活向上にあまり寄与しなかったこと、イノベーション経済のもとでのラストベルトの現状など、トランプ現象に直接つながる問題の分析にも取り組むよう努める。加えて、トランプ現象を見る上で一定程度必要と考えられるオバマ政権の経済政策の評価については、質疑応答等において、河音・藤木[2016]『オバマ政権の経済政策』ミネルヴァ書房、(2016年11月刊)の知見をもとにお答えしたい。

【参考文献】
「オバマからトランプへ-産業構造動態・格差(経済的背景)-」

報告2
16:00-
宮﨑 毅氏(東京大学名誉教授)
「土壌はどこまで人を養えるか?」

【参考文献】

第29回 持続可能性と資源貿易研究会/グローバル政治経済学(GPE)研究会/立教大学経研究所プロジェクト研究(国際・政策部会)共催


日時
2016年7月23日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F共同研究室

報告
田中樹(たなかうえる)氏(総合地球環境学研究所・研究部・教授)
「熱帯地域の脆弱環境と人と土」

「土壌は世界の人びとを持続的に養えるか?」という問いは古くからあります。「土壌にある養分資源の範囲内で」という条件が付くのであれば、その答えは「否」です。ハーバー・ボッシュ法(1906年)による窒素肥料の合成技術を引くまでもなく、世界人口は農耕地への化学肥料の投入により爆発的に増加しました。世界人口の扶養は、土壌よりは肥料の材料となる窒素やリン、カリウムなどの資源量と経済のありように既定されると言えるでしょう。一方で、それは土壌の重要性を下げるものではありません。土壌は、陸域の水の涵養、生活資材の生産、生態環境の形成、伝統文化など人びとの暮らしとも密接に関わっているためです。発表では、主にアフリカの土壌荒廃が進む熱帯半乾燥地や森林が消失しつつある山間地域など脆弱環境のもとでの人びとの暮らしと土との関係に焦点を当てつつ、「ヒトVS自然」という二項対立ではなく「ヒトも自然も」が成り立つような砂漠化対処や地域開発支援の基礎となる小さな技術群の紹介をします。これは、『国連・持続可能な開発目標(SDGs)』の前文で触れられている「no one will be left behind」への具体的な実践技術の提案になるかも知れません。

田中氏略歴:
京都大学博士(農学)。ケニア・ジョモケニヤッタ農工大学講師(JOCV)、京都大学農学部助手・助教授、京都大学地球環境学堂准教授、総合地球環境学研究所准教授・教授を歴任。ベトナム・フエ大学名誉教授。アジアやアフリカの人びとに「それはいいね」と言ってもらえるような実践的な研究をめざしています。

※小原篤次氏「中国の開発モデルの諸問題」は、事情によりキャンセルとなりました。
2015年度

第28回 持続可能性と資源貿易研究会


日時
2016年3月19日(土)15:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号 館 4F 第1・2・3共 同研究室

報告
井上泰子氏(元WFP国連世界食糧計画・気候変動担当プログラムオフィサー等)
「COP21パリ協定合意と森林」


第27回 持続可能性と資源貿易研究会/東京新世界経済研究会2015年冬例会(経済研究所プロジェクト研究「国際・政策部会」と共催)


日時
2015年12月12日(土)15:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F 第1・2・3共同研究室

報告
妹尾裕彦氏(千葉大学)
「人々はなぜ石油の本質を見誤るのか-埋蔵量・総資源量・採掘技術-」

・概要
石油は、一次エネルギー源としても世界貿易に占める金額でもNo.1の地位にあり、現代文明や世界経済の根幹を成している。だが、その重要性にも拘わらず、石油には謂れなき誤解が多くまとわりついている。近未来の枯渇を恐れる悲観論は、その典型であろう。そこで本報告では、この種の誤解を解きほぐしながら、地球には想像を絶するほど大量の石油があることを示す。また近年の石油採掘技術や、シェール開発批判への反駁なども、画像を交えて紹介したい。

・参考文献
妹尾裕彦[2015]「『近未来石油枯渇論』の誤謬と埋蔵量・可採年数・総資源量の真実:文明縮小論はなぜ不適切なのか?」『千葉大学教育学部研究紀要』63、pp.317-332.
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/meta-bin/mt-pdetail.cgi?cd=00118654

討論1 山川俊和氏(下関市立大学)
「資源採取・消費の持続可能性と再生可能エネルギーの位置付け(仮)」

討論2 櫻井公人氏(立教大学)
「原油価格のサイクルと技術・持続可能性(仮)」


第26回 持続可能性と資源貿易研究会 / 経済研究所プロジェクト研究(国際・政策部会)と共催


日時
2015年8月1日(土)

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館 4F 第1・2・3共同会議室

第1報告
北風亮氏(公益財団法人自然エネルギー財団 上級研究員)
「電力システム改革の現状と課題~電力自由化と自然エネルギーを取り巻く世界的潮流を踏まえて~」

第2報告
「論争:違法伐採木材問題をめぐって」
藤原敬氏(林業経済研究所所長)
「日本の木材の合法性証明の意義と課題ー違法伐採問題への日本の対応に関して」

島本美保子氏(法政大学社会学部)
「輸入合板に対する違法材規制が日本の合板需要・合板用丸太需要に与える影響」
2014年度

第25回 持続可能性と資源貿易研究会
(/共催 東京新世界経済研究会)


日時
2015年3月7日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F 第1・2共同研究室

第1報告
佐野聖香氏(東洋大学経済学部)
「ブラジルの土地制度における諸問題」

・概要
ランド・グラビングとの関連でブラジルの土地制度史を概観する

第2報告
山縣宏之氏(立教大学経済学部)
「オバマ政権期アメリカの産業構造と競争力政策:『製造業回帰』に関する一試論」

・概要
次期大統領選挙に向けた動きが加速する中、オバマ政権期アメリカ経済の評価を行う必要性が増している。

本報告は、なかでもオバマ政権経済政策の目玉の一つであった『製造業回帰』の実態を検討する。

同時に、やや幅を広げて、同政権期のアメリカ産業構造動態と競争力政策の展開を、分極化する保守派・リベラル派の対立を織り込んだ政治経済学的視点から分析する必要性と有効性を主張してみたい。


第24回 持続可能性と資源貿易研究会
(/共催 経済学部国際・政策部会プロジェクト研究)


日時
2014年12月26日(金)15:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F 第1・2・3共同研究室

報告者・テーマ
中津孝司氏(大阪商業大学)
「ロシアをめぐるエネルギー情勢と日本」(仮)

・ウクライナ制裁の衝撃
・ロスネスチVSガスプロム
・シェール・ガス「革命」の影響度
・中露ガス供給協定とパイプライン
・日露関係への影響
・その他


第23回 持続可能性と資源貿易研究会/グローバル政治経済学(GPE)研究会


日時
2014年7月26日(土)14:00-

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F 第1・2・3共同研究室

【第一報告】
千葉典氏(神戸市外国語大学)
「日米中3国間の農産物貿易構造」

参考文献
「日米中3国間の農産物貿易構造(1)—日米・米中間貿易の近年の動向—」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/ras/04_publications/ria_ja/39_02.pdf

【第二報告】
妹尾裕彦氏(千葉大学教育学部)
「世界カカオ産業の構造とインドネシア産地」

参考文献
妹尾裕彦(2014)
「バリューチェーンの視角からみる世界カカオ産業の構造と動態(1950-2012)
——コーヒー産業との比較もふまえて」
『千葉大学教育学部研究紀要』第62巻,pp.309-328.
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/meta-bin/mt-pdetail.cgi?cd=00117583
2013年度

第22回持続可能性と資源貿易研究会(/東京新世界経済研究会2014年春例会と共催)


日時
2014年3 月8日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F 第1・2・3共同研究室

【第一報告】
14:00-15:00
道満治彦氏(立教大学大学院経済学研究科博士課程)
「カナダと欧州における再生可能エネルギーの動向について」

「[調査報告]カナダ・オンタリオ州の再生可能エネルギーの動向」
「欧州再生可能エネルギーの動向
—David Jacobs, Feed-in Tariffs in Germany, Spain and France, Ashgate,2012の紹介と検討」
http://www.ashgate.com/isbn/9781409439097
2月のオンタリオ州調査について帰国報告を、また欧州の事情については研究書の紹介をしていただく予定です。後者については、内容次第で、翻訳プロジェクトに格上げする構想もあります。

【第二報告】
15:30-18:00
佐野聖香氏(東洋大学経済学部)
「ブラジルにおけるアグリビジネスと契約栽培」

ブラジルは、世界有数の食料供給国である。主だった輸出品も、コーヒー、サトウキビ等の伝統的亜熱帯作物、大豆、トウモロコシ等の耕種作物、牛肉・豚肉・家禽肉など食肉製品、オレ ンジジュース等の農産物加工品、紙・パルプ等の林産品と多岐にわたる。こうした農産物の多くは、生産から加工・流通までの全ての段階をアグリビジネスによって支配される垂直的統合が進展している。そして、ブラジルにおいてアグリビジネスによる垂直的統合の代表例が大豆コンプレックスである。途上国におけるアグリビジネスによる垂直的統合の生産面への包摂では、契約栽培もしくは直営農場経営が選択される。世界開発投資報告によれば、ブラジルの大豆では全体の35%が多国籍アグリビジネスによる契約栽培である。そこで本報告では、ブラジルの大豆農家の契約栽培について、マットグロッソ州ルッカスドリオベルジ市におけるアグリビジネスと大豆農家の契約制度から、大豆生産における農家と企業による契約関係は、どのような契約になっており、それは双方にとってどのような役割を成しているのかを解明する。


第21回 持続可能性と資源貿易研究会/経済研究所プロジェクト研究(国際・政策部会)と共催


日時
2013年12月25日(水)15:00~

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F第1・2・3共同研究室

報告
古川純子氏(聖心女子大学文学部歴史社会学科国際交流専攻)
「クラウドソーシングの公共財的側面:自発的供給メカニズムの再検討」

強制権のない国際社会において安定的な国際公共財の提供は可能なのか。その問題意識を追っていくうちに、知識経済の先端でオープンソース・ソフトウェアの開発やウィキペディアの生産において、不特定多数の人々が自発的に公共財を無料で供給する現象を発見した。伝統的な公共財理論によれば、市場もしくは自発性に任せておけば公共財の供給は過少になることが良く知られており、そのために政府の強制権(国内)や覇権国の存在(国際)が不可欠とされてきた。では、知識経済の先端で観察される現象はなぜ起こるのか。そのメカニズムを分析し理論化することで、自発的公共財供給のひとつの定式を提供できるであろうか。メカニズムそのものの検討と同時に、このメカニズムの資源・環境問題や地域活性化などを含む他分野への適応や課題を、参加者と討議したい。

参考文献:

(2008)「オープンソースの開発動機と意識の階梯」『共立女子大学文芸学部紀要』no.54,pp.13-42.
(2010)「クラウドソーシングのメカニズム知識経済における公共財供給の自発的貢献」『聖心女子大学論叢』no.115,pp.64-101.
(近日刊行)「ネットワーク外部性をもつ情報財供給における無料公開行動の理論分析:オープンソース・ソフトウェアはなぜ無料なのか」『聖心女子大学論叢』no.122.


第20回 持続可能性と資源貿易研究会(/GPE研究会と共催)


日時
2013年7月13日(土)14:00~18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 11号館A101

報告1
櫻井公人氏(立教大学経済学部)
「アベノミクスの解剖ー経済政策体系の変貌が意味するもの」

金融政策と焦点としての国債問題の関係、日米成長戦略の交錯などについて話題提供します。

報告2
島本美保子氏(法政大学社会学部)
「資源貿易から考える経済のグローバル化の前提条件」

経済のグローバル化の中で、日本の資源貿易・資源産業に起こっている問題を経済理論から再検討し、解決の方向を考えます。
2012年度

第19回持続可能性と資源貿易研究会(東京新世界経済研究会春例会と共催)


日時
2013年3月9日(土)14:00-18:00

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F第1・2・3共同研究室

報告1
14:00-15:40

相原延英氏(早稲田大学日米研究機構日米研究所)
「葛巻町の木質バイオマス発電の課題と展望(仮)」

相原氏は農業経済学、農業貿易を専攻され、リスク・コミュニケーション、バイオマス・再生可能エネルギーの問題にも取り組んでおられます。

報告2
16:10-18:00

関良基氏(拓殖大学政経学部)
「関税は雇用・食・環境を守る」

参考文献

・関良基『自由貿易神話解体新書』花伝社、2012年.
・E.トッドほかと共著『自由貿易という幻想—リストとケインズから「保護貿易」を再考する』藤原書店、2011年

関氏は農業経済学を専攻され、フィリピン、中国の森林保全や日本のダム問題などの調査をふまえて環境と農業などの問題に取り組んでこられました。このたび刊行された、自由貿易主義を批判的に検討される注目の書について語っていただきます。
2011年度

第16回持続可能性と資源貿易研究会(東京新世界経済研究会2012年春例会/GPE研究会と共催)


日時
2012年3月10日(土)14:00-18:30

会場
立教大学池袋キャンパス 12号館4F第1・2・3共同研究室

報告者・論題等
吉田敦氏(明治大学商学部)
「多国籍企業による発展途上諸国の資源開発」

アフリカにおける紛争ダイヤモンド等についてお話しいただく予定です。

山川俊和氏(下関市立大学経済学部)
「地球環境問題と保全の経済思想」

地球規模での環境問題と環境保全をとらえる理論視角について、異端の経済学の枠組みから考える


第15回 持続可能性と資源貿易研究会(東京新世界経済研究会冬例会/GPE研究会と共催)


日時
2011年12月3日(土) 14:00‐18:30

会場
立教大学池袋キャンパス12号館(地下)第2会議室

報告1
関根佳恵氏(立教大学経済学部助教)
「多国籍アグリビジネスの地域農業参入—日仏の青果物市場を事例として—」

グローバル化の進展にともない、農業分野においても多国籍企業の国際的事業展開が脚光を浴びている。発展途上国におけるプランテーション開発だけでなく、近年は先進国においても多国籍企業による農業生産活動への参入や契約農業の展開が見られるようになった。

本報告の課題は、(1)グローバリゼーション下で進展する農業関連資本(アグリビジネス)の国際資本移動が、地域レベルの農業生産活動に与える影響を、アメリカ系多国籍アグリビジネスのドール・フード社の日本およびフランスにおける地域農業への参入を事例にして明らかにすることである。

さらに、(2)多国籍アグリビジネス、ドール・フード社の地域農業への参入に対する地域の対応方向を明らかにし、(3)農業関連部門のグローバル化と農業・食料の新たなフード・レジームの台頭の中で、政府規制の後退や資本の自己規制に注目しつつ、「資本による農業の包摂」の今日的実相に迫ることである。なお、本報告は2011年3月に申請した報告者の学位論文をもとにしている。

関連文献中野一新編『アグリビジネス論』有斐閣、1998年久野秀二『アグリビジネスと遺伝子組換え作物—政治経済学アプローチ—』日本経済評論社、2002年渡辺雅男・記田路子訳『フード・レジーム—食料の政治経済学』こぶし書房

報告2
齊藤修氏(一橋大学経済研究所客員教授)
'Forest History and Great Divergence'

元一橋大学経済研究所長,元ケンブリッジ大学客員教授,元社会経済史学会代表理事。学士院賞,紫綬褒章を受章。著書に,『プロト工業化の時代』(サントリー学芸賞)『江戸と大坂』『比較経済発展論』ほか多数。
次回研究会(最新の開催情報など)は下記リンク先「経済学部研究会」の各研究会よりご覧ください。

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